― 技術力を成果につなげる情報発信・コンテンツ設計の考え方 ―

webサイトを集客に活用するプラスチック成形・加工メーカーは年々増えてきています。そうしたなかで問い合わせを継続的に獲得するwebサイトを構築するためには、自社の優位性の理解とそれにもとづくコンテンツ設計が必要です。

この記事ではプラスチック成形・加工メーカーがプロモーション用のwebサイトを運用するうえで押さえておくべきポイントを紹介します。


技術紹介ページと集客ページは切り分けて考える

webサイトを作る際にまず考えてほしいことは、「自社の技術を紹介するページ」と「お客様を集客するページ」とを切り分けて構成することです。

自社事業の特長を伝える技術紹介ページ

技術紹介ページは、自社の加工技術の特長を分かりやすくまとめたページです。このページに設ける要素はつぎの3つです。

  • 自社技術の独自性
  • 対応可能な技術、スペックの一覧
  • 適切な位置への問い合わせボタンの設置

では、それぞれについて詳しく紹介していきます。

【図1】

自社技術の独自性

まずは、他社と差別化できる自社技術の特長をしっかりと提示しましょう。
たとえばつぎのような内容です。

  • 加工できるサイズの特長:とても大きなものが作れる。または逆にとても小さなものが作れる。精密な寸法精度で成形できるなど。
  • 加工できる形状の特長:先端に向かって広がる逆テーパー形状や、微細な凹凸形状といった特殊な金型での成形ができることなど。
  • 対応できるロットの特長:少量多品種に対応できるのか。逆に大量ロットの生産を得意としているのか。

このように、自社の強みとなる特長をページに掲載します。
独自技術はできるだけ具体的に紹介することをお勧めします。「小さい物が作れる」と書くよりも「○○mmの成形品を提供」というように、具体的な情報を提示することでお客様の理解が深まり、受注確度の高い問い合わせにつながりやすくなります。

対応可能な技術、スペックの一覧

対応できる加工技術とその範囲を一覧にまとめて提示します。自社の成形技術は射出成形なのか押出成形なのか。塗装などの後加工も可能なのかといった、自社でできることを明確に提示します。また加工できる成形品のサイズ、寸法精度、対応できる数量なども提示しておくとよいでしょう。

問い合わせフォームへの導線

問い合わせフォームにつながるボタンは、自社の独自性紹介と対応可能技術の一覧のそれぞれの後に設置します。ページ閲覧中にお客様の興味が薄れてしまった場合、ヘッダーやフッターの問い合わせボタンはクリックしてもらえない可能性があります。お客様の興味が高まったタイミングで問い合わせをしてもらえるよう、適切な位置にボタンを置きましょう。

このように自社技術の具体的な情報を提示することで、受注確度の高い問い合わせを集めることができます。逆に「成形のことならなんでもご相談ください」といった漠然としたページを作ってしまうと、自分たちが意図しない問い合わせを多く集めてしまうことになりかねません。技術紹介ページでは、自社の得意技術を明確に提示することが大事です。

そして理解しておいてほしいことは、技術紹介ページの役割は自社の技術を理解してもらうことで、web検索からの訪問を集めることは主な役割ではないということです。お客様がwebサイトへ訪問する入り口は別のページで作ります。それがオウンドメディア(コラムなど)のページです。

お客様を集客するオウンドメディア

オウンドメディアとは、企業などが独自に保有(own)するメディアを指す言葉です。プラスチック成形・加工メーカーにとって、オウンドメディアは「お客様を呼び込む入り口」です。


加工委託先を探しているお客様がweb検索をするとき、「成形委託先」のようなシンプルなキーワードで検索するとは限りません。「長尺成形」「エンプラ 成形」など、お客様自身が探している加工要件を検索するケースがたくさん有ります。こうした多様な検索ニーズに対応するのがオウンドメディアです。


オウンドメディアでは「1ページで語る話題(キーワード)はひとつだけ」という方針で、プラスチック加工に関わる情報を提供するページを量産していきます。この「1ページ1キーワード」の考え方は、web検索の上位表示を獲得する基本的な要件のひとつです。そして、ページを増やせば増やすほど、お客様の入り口をたくさん持つことができます。


オウンドメディアから技術紹介ページへとお客様を導いて、最終的に問い合わせにつなげるのが製造業webサイトの基本的な導線設計です。

製造業webサイトの基本的な導線設計

【図2】

では良質な案件を持っているお客様を集めるためには、オウンドメディアでどんな情報を提供すればいいのでしょうか。ここからは、オウンドメディアに掲載する記事の種類について紹介します。

プラスチック成形・加工技術を伝えるオウンドメディアの記事の種類

オウンドメディアに掲載する記事は、つぎの2種類に大きく分類できます。

  • 顕在層向けの記事:成形・加工の委託先を探しているお客様に向けた記事
  • 潜在層向けの記事:今すぐの案件は持っていないが情報収集をしているお客様向けの記事

顕在層向けの記事は、その記事一本の力で問い合わせを獲得することを意図した記事です。お客様の抱えている課題を解決する技術をピンポイントで紹介する記事と考えてください。

一方で潜在層向けの記事は加工技術の一般的な情報を提供する記事です。このような記事を掲載することで、自社のwebサイトを訪問すればプラスチック成形・加工についてさまざまな情報が得られると認知してもらえます。つまり潜在層向け記事は自社のファンを増やして将来的なお客様を獲得する役割を担います。

オウンドメディアではこの顕在層向けと潜在層向けの記事を定期的かつ永続的に増やしていくことが理想です。しかし、記事を増やし続けるためにはその記事の種となる「キーワード」をたくさん用意する必要があります。このキーワードを用意するということが実は大きなハードルになります。漠然と考えていてはキーワードのネタ出しに苦労することが多いです。

そこでオウンドメディアの運用を始める前に、まずは記事の種となるキーワードのリストを作っておくことをお勧めします。このキーワードのリストは、マーケティング手法のひとつである「3C分析」のフレームを活用すると、たくさんのアイデアを出しやすくなります。

3C分析のフレームを使ったキーワードリストの作成

3C分析とは、自社(Company)、顧客(Customer)、競合他社(Competitor)の3つの観点から自社の事業環境を分析する手法です。オウンドメディアのキーワードを考えるうえでは自社技術の独自性や同業他社との共通点を見極めておくことが重要で、3C分析のフレームはそういった要素を整理するために役に立ちます。

ここからは3つのCについて、整理すべきポイントを挙げていきます。

【図3】

Company:自社技術の特長を整理する

  • 保有する成形技術:射出成形、押出成形、真空成形、3Dプリントなど、どのようなタイプの成形加工ができるのか。
  • 成形技術の特色:大型成形、小型成形、深絞り成形(フィルムを深く引き伸ばす成形)、サイクルタイムの速さなど、得意とする加工内容を列挙する。できれば寸法精度といった細かい点まで書き出してみる。
  • 加工材料の特色:汎用プラスチック、機能性の高いエンジニアリングプラスチック(エンプラ)、バイオマスプラスチックなど、取り扱える材料を整理する。
  • 工場設備:立地条件(多拠点であるなど)、クリーンルームの有無、印刷など後加工の設備があるか。

Customer:顧客ニーズの整理

お客様が自社を選んでくれる理由(技術的なことや立地的なことなど、さまざまな視点での自社の優位点)を書き出す。お客様の市場(家電、食品容器、自動車部品など)を整理する。

Competitor:競合他社の分析

競合他社の技術や顧客などを整理する。技術面で自社が勝っていること、負けていること、顧客層の違い。技術や顧客層での共通点などを書き出す。

このように3C分析によって書き出した情報を、顕在層向けと潜在層向けのキーワードに整理します。

顕在層向けキーワード

お客様の課題解決に直結するキーワード。自社の独自性が高いキーワード。

「エンプラの成形ができる」「シリコーン成形ができる」「3Dプリントで短納期試作ができる」など。

潜在層向けキーワード

プラスチック成形・加工業界の一般的な情報に当たるキーワード。お客様市場の一般情報に関わるキーワード。

「射出成形とは」「成形樹脂の種類と特長」「食品容器の成形技術」など。

こうして2つの分類のキーワードをストックしたうえで、いよいよオウンドメディアの構築に入ります。

ラベリングにもとづくオウンドメディアの構築

自社のビジネスにラベリングする

まず初めに考えるのはオウンドメディアの名称です。

3C分析の結果から自社技術の独自優位性は整理できています。その独自優位点をもとに、自社は「○○成形のエキスパート」といったラベリングをします。

プラスチック成形・加工の分野では自社技術の独自性をPRするオウンドメディアがすでにたくさん存在します。射出成形や押出成形、なかには医療用プラスチック成形といった用途に絞ってPRしている企業もあります。それらの他社メディアに埋もれないよう、自社技術の独自性を見出して名前を付けるのが効果的です。

オウンドメディアは単純に「コラム」として運用するよりも「○○成形.com」のような名称を付けると、その語句で検索されたときに上位表示されやすくなります。

まず顕在層向け、つぎに潜在層向けのページを作る

オウンドメディアのページはつぎの順序で増やしていきます。
① 顕在層向けの記事
② 潜在層向け記事

まずは顕在層向けの記事を充実させます。これは、問い合わせという成果をできるだけ早く出していくためです。顕在層向けの記事を一通り公開できたら、つぎに潜在層向け記事を増やしていき、自社サイトの認知を拡大していきます。このように顕在層向け記事と潜在層向け記事を交互に追加していくことで、オウンドメディアへの入り口が増えていきます。

オウンドメディアを運用する目的は顧客の獲得

プラスチック成形・加工企業のオウンドメディア運営の目標は、あくまで顧客の獲得であることを意識しましょう。つまり、何万人もの一般ユーザーを集めるよりも、加工委託先を探しているターゲット層のユーザーが目を止めてくれるwebサイトを目指すことが大事なのです。そのためにも顕在層向け記事を優先的に充実させる必要があります。

まとめ

ここまで、プラスチック成形・加工メーカーのwebコンテンツ設計のポイントを紹介してきました。
コンテンツ設計のポイントをまとめるとつぎのようになります。

  • 自社技術をまとめた技術紹介ページと、集客を目的としたオウンドメディアの2種類のコンテンツを用意する。
  • オウンドメディアは顕在層向けの記事と潜在層向けの記事で構成する。
  • まず顕在層向けの記事を充実させ、つぎに潜在層向けの記事を増やしていく。
  • 3C分析を活用して、記事のキーワードをストックしておく。

そして、webサイトを運営する目的は「顧客の獲得」つまり「問い合わせの獲得」であることを忘れないようにしましょう。

こういった点を意識することで、より多くの問い合わせを獲得できるwebサイトを構築できるはずです。

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