製造業では、マーケティング活動が盛んになってきています。マーケティング活動の初期段階で特に重要になるのが、ペルソナの設定です。
しかしマーケティング活動をこれから本格化させたい企業にのっては、どのようなペルソナを作ればよいのか、わからないことも多いのではないでしょうか?
また、忙しい経営者ではそもそもペルソナ自体を作る時間がないという方も……
本記事では、ペルソナの構造をひもときながら、製造業で成果を出す製造業のマーケティングに役立つペルソナの作り方を解説します。
また時間がない忙しいマーケティング担当者のためのペルソナシート(無料)もダウンロードいただけますので、ぜひご活用ください。
シート全体像を把握する
今回のテンプレートは、次の5ブロックで構成されています。
- 企業情報
- 担当者情報
- 課題・痛み
- 購買プロセス
- 期待する成果・ゴール
たとえば企業情報には「業界・業種」「企業規模」「成長フェーズ」、担当者情報には「役職」「業務KPI」「決裁権」が記入欄として用意されています。
おおまかな流れを見ると、どういう人が、どういう状況で、何に困っているのか?を考えていきます。
すでにお客様がいる状態であれば、実際のお客様をイメージするとよいでしょう。まだお客様がいない状況であれば、仮説を立ててお客様を想定していくことになります。
企業情報 ― 市場ポジションと競合比較を具体化する
製造業では同じ部品でも購買条件が企業規模で大きく異なります。
- 売上規模・従業員数:1,000億円超の大手と10億円規模のニッチメーカーでは採用基準も根拠資料も異なる。
- 成長フェーズ:スタートアップは新規技術導入に前向き、成熟期はコスト管理が厳格――といった傾向が読み取れる。
ここで押さえたいのは「自社製品が優位に立てる指標」。たとえば「生産ラインへの組み込みが容易」「最小ロットが小さい」など、比較軸を書き込むと後段の課題・痛みが立体的になります。
担当者情報 ― 決裁者を“顔”をイメージする
製造業の購買は「技術部門→経営層→購買部」の三段階を経ることが多く、広報が直接リーチするのは現場に近い技術者やPR担当者です。
- 役職・職種 を埋める際は「一次窓口」と「最終決裁者」を分けて記入。
- 業務KPI として「歩留まり◯%改善」「コスト◯%削減」などの数値を入れる。
- 趣味・関心 欄には業界トレンドの情報源を列挙し、後のメディア選定に活用。
BtoBビジネスでは、担当者と決済者が分かれていることが多く、どちらにアプローチしているのかを認識することは非常に重要です。
担当者にアプローチする際は、数字とストーリーの両方を入れることで、決済者に説明しやすい資料を作ることができます。
課題・痛み
テンプレートには課題・ニーズ、業務課題、導入障壁の欄を設けています。
ここでは 客観データ と 主観的フラストレーション の両方の側面で考えてみるとよいでしょう。
客観データ:「既存パーツの不良率 0.5% → 0.1%に下げたい」
情緒的痛み:「品質クレームが出ると生産ラインが即停止し、担当者の評価が下がる」
両面を書くと、ホワイトペーパーや記事見出しで“数字”と“感情”を同時にアプローチできるため、リード獲得率が上がる効果が期待できます。
購買プロセス ― 社内稟議を逆算して情報提供を設計
BtoB購買には企業が大きくなると6〜8名が意思決定に関与することもあります。
シートの「課題認識 → 情報収集 → 比較検討 → 社内調整 → 決裁 → 導入 → 評価」を 誰が・いつ・何を求めるか で細分化するとたとえば下表のようになります。
フェーズ | 主担当 | 情報ニーズ | 推奨コンテンツ |
---|---|---|---|
情報収集 | 技術者 | 仕様書・導入事例 | 技術ブログ、PDFスペック |
比較検討 | 技術+購買 | 価格、供給体制 | コスト試算シート |
社内調整 | 技術長 | 投資対効果 | ROI計算表、試作品 |
決裁 | 経営層 | リスク、実績 | 顧客導入レポート、保証体制 |
この表が完成すると「どのタイミングで、どのCTAを置くか」が一目で分かります。
期待する成果・ゴール
導入後の期待効果とKPIは 定量指標+定性指標 の2軸構成にすると効果測定が容易です。
- 定量:生産効率15%向上、不良率50%減など
- 定性:ブランド価値向上、取引先からの評価向上など
KPIが明確なら事例記事で実績を提示しやすく、次の受注につながります。
まだ導入実績が少ない場合には、想定される効果などを仮定するとよいでしょう。
シート完成後の活用術
コンテンツマップを作る
ペルソナを作成したら、次はコンテンツ制作の計画に進みます。
コンテンツ計画では、どのようなメディア(媒体)にどのように形(文章、画像、動画)などを掲載していくかを決定します。
コンテンツマーケティングでは、アプローチするキーワードの選定や記事一覧を作成していく流れになります。
営業資料を一本化
シートを基に提案書テンプレートを作成すれば、営業担当ごとの資料ばらつきを防止することができます。
また資料において、顧客の課題を特定することで、提案に具体性がでます。顧客の課題がずれている可能性もありますので、提案しながらPDCAを回し、ペルソナを修正していくことも重要です。
記事を制作する
コンテンツ計画に従って、記事を制作していきます。
ペルソナシートは定期的に更新しよう
ペルソナシートは「書いて終わり」ではありません。
たとえば、4半期に一度などの更新サイクルを決め、営業・開発とのレビュー会議を設けることで、市場変化を反映した生きたドキュメントになります。
よくある質問
Q1. 社内に十分な顧客データがない場合、どうやってシートを埋めればよい?
営業日報やサポート窓口に寄せられた問い合わせを集約し、「頻度が高い悩み」を書き出します。作成したシートは営業・開発のフィードバックで生きた情報で確認することが重要です。
Q2. 複数製品を扱っている場合、ペルソナは何枚作るべき?
「購買プロセスが大きく異なる」単位で分けると管理しやすいです。部品販売とOEM受託では決裁者もKPIも違うため、別ペルソナ化を推奨します。
無料ダウンロードはこちら
本記事で紹介したテンプレートは、下記リンクから無料でダウンロードいただけます。自社のターゲット整理にぜひご活用ください。ペルソナを入力した後の活用にお困りの方はぜひ日本アイアールまでお問い合わせください。